本当に柳沢だけが悪いのか

2006.6.26

 

 日本ではクロアチア戦(18日)で決定機を外したFW柳沢への評価が渦巻いているという。という、と書いたのは記者はドイツで取材を続けてきたため、日本の世論がはっきりとこちらに伝わっていないことと、若干の違和感があるからだ。

 

 果たして柳沢は本当に救いようがないほどダメだったのだろうか。確かに加地の折り返しでゴールを決めなかったのはFWである以上、責められていい。しかし、スタンドで見ていた知人によると「(加地は)間違いなくシュートだった。自分の角度からはコースがはっきり空いていたのが分った」という。味方がシュート態勢に入っているのは、誰よりも同じピッチにいる柳沢が感じるはず。こぼれ球への準備をイメージしていたから外してしまったのかもしれない。それでも、世界レベルのストライカーなら決めているだろうから、ある程度の評価は仕方ない。

 

 ただ、あの炎天下でのクロアチア戦はチャンスは相手の方が多かったわけだから、実際のところ、引き分けが精いっぱいだった。柳沢は序盤からスペースをつくって味方のボールを引き出そうと惜しみなく動いていた。外から見ている以上に柳沢に対して、中盤の選手の信頼が厚いのはそのためだ。スタンドにいても耐え難いほどの暑さ。フィニッシュに余力がなくなるのは当然だった。

 

 体格、身体能力で劣る日本が世界と戦うには組織しかない。世界相手には前線からDFラインまですべてが動き続けてようやく試合になる。ロナウドやアドリアーノを見れば一目りょう然だが、ブラジル代表のFWあまり動かなくていい。1度のチャンスに全力を出せるチーム力がある。

 

 アウェーでのW杯は98年のフランス大会に続いて勝つことはできなかった。98年にはFWの城が水をかけられた。勝てなかった根拠を見つめ直し、そこを強化することが何より重要。毎回、毎回、FWだけの責任にしていてはいけない。

 

文:スポーツニッポン運動部 内藤博也

 

http://www.sponichi.co.jp/wsplus/column_j/08273.html

 

 

 

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