4年後の日本のフィジカルは… 2006.6.19 W杯が始まる前、ドイツのテレビ番組では西ドイツ代表が優勝した90年イタリア大会の時の試合が連日放送されていた。ブッフバルト、リトバルスキーら日本でもおなじみの選手をはじめ、マテウス、コーラーら世界的スターが激しい戦いを演じている。 だが、当時、最高峰だった大会もどこかのどかに見える。なぜだろうか。ほどなくして、分かった。個々の選手が余裕を持ってボールを足元に受けている。ドリブルをしても相手選手はなかなか間合いを詰めてこない。現在のサッカーとは比べものにならないほどに時間もスペースもある。だから、個々は自分の技を存分に発揮することができた。 世界のサッカーは時間の経過とともに長足の進歩を遂げている。相手からのプレッシャーがどんどん厳しくなる中で、日本代表は敏捷性とテクニックを生かし、数少ないタッチでボールをつなぐサッカーに活路を見出してきた。 さて、今大会はどんな特徴があるのだろうか。日本協会の川淵三郎キャプテンはオーストラリア戦後、「どんどんフィジカルが重要になってきている。技術レベルが上がってきた分、それを止めようと汚いプレーも増えてきた」と感想を漏らした。狭いスペースの中では必然的に接触プレーも増える。あるいは意図的に体を当てることでボールを奪う場面も増えてきた。日本は体に当てられる前にボールをさばき、パスワークからゴールを狙うスタイルを確立したが、もはや、それだけで勝つことは難しい時代になってきている。 現在、世界最高の選手はブラジル代表のロナウジーニョだろう。そのテクニックばかりに目を奪われがちだが、一方で有数の身体能力も備えるMFであることも見逃してならない。欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦のチェルシー戦でイングランド代表テリーを吹っ飛ばしてのゴールは記憶に新しい。 日本に外国人選手に体を当てられても持ちこたえられる選手は何人いるだろうか。ドイツ大会が日ごとに盛り上がりを見せる一方で、10年の南アフリカ大会へ向けての課題も見えてきている。 文:スポーツニッポン運動部 内藤博也 |
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