高円宮杯観戦記 FCみやぎユース−流経大柏

2004年9月25日

 激戦の関東を勝ち抜いた流経大柏と、東北第2代表のFCみやぎユース、どちらも初出場同士のフレッシュな顔合わせとなった。流経大柏の個人能力の高さは、プリンスリーグを見て知っていたが、きょうの収穫は初見のFCみやぎユース。特にある1人の選手のプレーに目を奪われた。

 

 流経大柏は2ボランチ2ワイドというオーソドックスな4−4−2。高い身体能力が売りのFW池田を攻撃の軸に、技術のあるMF佐藤、三門、DF平木(ともに3年)が脇を固める。準優勝を飾った千葉県少年国体メンバーに6人を送り込むなど、ライバル市立船橋以上のタレント集団である。

 対するFCみやぎユースは右サイドバックが上がり気味の4−4−2で、中盤はボックス型。しかし頻繁にオーバーラップやポジションチェンジが行われるため、ポジションはあってないようなものとも言える。

 

 「良かったのは結果だけ。足がまったく動かないから、ハーフタイムに怒鳴りつけました」と試合後、流経大柏・本田監督が苦笑しながら振り返ったように、スコアが示すほど楽な試合ではなかった。

 「国体で4人が出っぱなしで、3日間、休みをやったけど戻らなかった。けが人も多く、チーム状況良くないんで何とか良くしようと練習をたっぷりやったんだけど、それもあってコンディションが悪かった。練習量では負けないから、一晩寝て良くなれば」と本田監督は2戦目以降、鍛え上げた選手の回復力に期待を寄せた。

 

 試合は前半8分、左サイドでボールを受けた池田がドリブル突破から豪快な右足シュートで流経大柏が先制。「相手がインターハイでも優勝候補に挙げられるようなチームで名前負けしていた」(FCみやぎユース・近藤監督)こともあり、浮き足立つFCみやぎユースだったが、同36分、東の40メートルを超えるロングシュートが決まると、徐々に落ち着きを取り戻し、前半を終える。

 後半に入ると一方的なFCみやぎユースのペースとなる。前線からの激しい追い込みでボールを奪い取ると、ドリブルとショートパスを織り交ぜて相手DFを翻弄。しかしボランチがFWを追い越してシュートを放つなど、怒濤の波状攻撃でも得点を奪えず、逆に手薄になったDFラインの裏にロングパスを出され、カウンターから連続失点を喫して万事休す。流経大柏に試合巧者ぶりを見せつけられたが、シュート数(8本の流経大柏に対しFCみやぎユースは15本)が示すとおり、内容ではFCみやぎユースの方がまさっていた。

 

 そして、この日、ピッチ上で一番輝いていたのがFCみやぎユースの1年生ボランチ香川真司だ。柔らかなボールタッチに加え、相手の足の届かない位置へ的確にボールをコントロールして抜いていくドリブルは必見。日本ではせっかくボールを奪っても「前に預けておしまい」というボランチが多いが、彼は惜しみないランニングで、たびたびゴール前に進入してはシュートまで持っていく。ボール奪取の力をもう少し伸ばせば、かつてないスケールのボランチになれるかもしれない。しかも1989年3月生まれの早生まれ。次の次のユース代表には間違いなく入ってくるはずだ。

 近藤監督も「守るだけでなく攻めることもできる選手。いままでは緊張するタイプだったが、FCみやぎユースでサッカーをやろうと、受験で死にものぐるいで公立高に合格してからメンタルも変わった」と高く評価する。残念ながら関東に住んでいるとFCみやぎユースを見る機会はなかなかないが、埼玉スタジアム第2競技場での試合がもう1試合残っている。興味がわいた人は、ぜひ彼のプレーを見て欲しい。

 

 

◆川腰 亮(かわごし りょう)氏

 1977年1月13日、神奈川県生まれ。2000年、報知新聞社入社。編集局電子メディア室編集部勤務。 小学生時代は野球クラブ、中学、高校、大学ではバスケット部に所属。昨年からフットサルを始めたが、全然、上達しない。「子供の頃からサッカーをやっていれば…」と、いまでも悔やんでいる。

http://www.hochi.co.jp/html/soccer/youth/2004/0925_4.htm

 

 

 

 

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