AFCアジアカップ2007予選イエメン戦後 オシム監督会見

2006.9.6

 

■引き分けも覚悟した

 最も大変な種類の試合だった。なぜなら日本のメディアもサポーターも「勝って当たり前」という雰囲気があったからだ。試合が始まれば勝つのはこっちだ、点が入るのは時間の問題だ、そういう雰囲気がある。選手たちも誤解して、相手がいることを忘れてしまう。それは大変に危険なことだ。相手は失うものは何もないので、落ち着いてプレーができる。そういう状況のゲームだった。

 対戦相手にも何人かの優れた選手がいた。われわれはそうした選手を警戒しなければならなかった。どちらが背が高いかということは、あまり問題ではなかった。このような(芝のはげたデコボコの)ピッチ状態だったので、何かのアクシデントでゴールが入ってもおかしくない状態だった。

 

――勝ち点3という結果には満足しているようだが、内容については満足していないのではないか?

 勝ち点6取れればもっとよかったが、1試合では3しか取れない(笑)。内容については、引き分けで満足しなければならなかったかもしれない。すべてではないが、試合のある要素、ある時間帯を見ると、そういう覚悟もしなければならなかった。私が代表監督になって今日が4試合目だが、いずれの試合でもものすごく効果的なプレーはできていない。別に選手たちを批判するつもりはない。選手たちに「君たちはここがいけない、こういうところが欠点だ」などと言い立てると、逆にコンプレックスとなってサッカーが下手になってしまう危険性がある。

 これは日本サッカーの持病というか、あまりすぐに治りそうにない病気と考えるべきかもしれない。例えば以前の代表の試合、オマーン、バーレーン、シンガポール戦などでは、0−0、あるいは1−1のまま試合終了間際までいって、やっと1点差で勝つという試合があった。今日の試合については、それと違う面もあった。私たちのチームは、これまでよりもテンポの速い試合ができたし、チャンスの数も昔のチームよりも多くなったのではないか。ただ、そのチャンスを生かせないという点では同じだが。

 

■今来ているのがベストチームだ

 さまざまなサッカーの哲学者がこの中にはいらっしゃるだろう。ここで巻がミスしなかったらとか、俺がゴール前にいたら決めていたとかおっしゃるのかもしれない。しかし、大事なのは相手がいること、こういったピッチコンディションであること、それからシュートをする瞬間、その場所まで走らなければならないということ、これらを忘れてはならない。別に皆さんに「やってみろ」と言っているわけではない。紳士的にお話しようと思っている。

 イエメンに対して、まずは敬意を表したい。仮定の話だが、新潟の試合もかなり際どいものだったが、あの時ようやく(阿部の)1点が入る、さらには佐藤寿の追加点が入る、そういったことがなくて引き分けでこちらに乗り込んできた場合、あるいは今日の試合でイエメンが先制点を取った場合、どんな結果になっていただろうかと想像してみてほしい。相手がいるわけだから、簡単なものではない。イエメンがそうなっていたら、もっともっと攻めてきただろうし、試合内容もまったく違っていたものになっていたと思う。

 率直に申し上げるが、先ほどイエメンの記者から「どうして最強のチームを連れてこなかったのか」という質問があった。私は「今来ているのがベストチームだ」と答えたが、プレーヤーがベストだということではない。プレーヤー個人の力を比べれば、連れて来た選手よりも優れた選手はいるかもしれない。しかしサッカーは個人競技でなく、集団競技である。集団として、どういう力を発揮できるかというのが重要だ。だから集団プレーに向いている選手を今回連れてきた。

 まあ、どんな選手が素晴らしいかということについては好みもあるから、いろいろな意見もあるだろう。ラテン語でも「たで食う虫も好き好き」という意味の言葉があるのだが、趣味について議論するのは意味がないということだ。これまでの4試合、ゴールを挙げるまで、どれだけ私が心の中で苦しんだことか。こんな試合の監督をやるくらいなら、炭鉱労働者をやった方がいいのかもしれない(笑)。しかし、人生とはそういうものではない。生き残らなければならない。

 

■徐々にではあるが進歩している

 ここだけの話だが、選手たちは大変疲れている。それなのに……。死にそうなくらい疲れているのに、走る気力、戦う気持ちというものを出してくれた。もう少し準備期間を取れるようになれば、コンビネーションプレーももっといい状況で、皆さんにお見せできると思う。

 DFは以前よりは比較的よくなった。遠藤は、人生で一番走ったと、この間の試合で言っていた。彼は非常に素晴らしい選手なので、走ることが加われば成功するのは間違いないだろう。だから、徐々にではあるが進歩していると考えていいと思う。

 それからもうひとつ、アジアサッカー連盟に対して言いたい。批判ではないが、どういうスタジアムで試合するかということを考慮してほしい。サヌアの2000メートルの標高で試合をするなと言うのではない。そうではなくて、今日のようなピッチ状態で試合をするのは(選手たちが)かわいそうだということだ。こういう試合では、偶然に負けてしまう可能性もある。

 このチームの選手選考は、いいものだと思っている。今後数年間、比較的年齢の上の選手が4年後もいるかどうかは分からないが、進歩、前進を始めたところだと思う。しかしコンビネーションプレーという意味ではまだまだだし、Jリーグでは重要なポジションは外国人がプレーしていて、本当に必要なポジションでのプレーヤーがうまく育たない環境がある。だから、発展し始めたといっても、その道は決して平坦ではない。代表監督だからといって、Jのクラブの監督に「こういうふうにしてくれ」などと命令するわけにはいかない。

 

■得点力不足だとか、そういう批判を簡単にしてもらっては困る

――チーム立ち上げのこの時期に、こうしたハードな試合をこなしたことはよかったと思うか?

 経験ということか。それは私個人の経験だけでなく、皆さんも含めて選手も経験を積んでいくものだと思う。一種の共同作業だからフェアにいかなければならない。

 田中達、佐藤寿、巻、我那覇らが代表に選ばれていない時期には「どうして彼らを選ばないんだ」という記事を皆さんは書いていたと思う。今、彼らが選ばれてプレーして、少しでもミスをすると「何であいつらを使っているんだ」という記事を書いていないだろうか? また全部のJのチームを見て回って、またFWを4人追加で選ばなければならないことになってしまう。先ほどの趣味の話に関連するが、今回連れてきた4人のFWよりも、いいFWがいるのなら誰か教えていただきたいものだ。

(会場、無言)

 矢野とか、高松とか、大久保、大黒……名前を挙げればきりがないだろうが、それではいい選手は誰か? 誰かいるか? だからミスをしたとか、得点力不足だとか、そういう批判を簡単にしてもらっては困るのだ。しかし同時にFWの彼らが、集団の中で生きるようなトレーニングをしなければならない、ということも考えている。シュート練習、キック練習というものは、彼らもボールを買うくらいの余裕があるだろうから、買ってもらってクラブでやってもらいたい。まあ、買わなくてもクラブにあるだろうが(笑)。

 いずれにしろ、「今日は勝ってよかった」と言えるに値する内容であったと思う。ただし、負けないときにも学ぶものがある。サッカーとはそういうものだ。これまでの4試合、日本と相手チームとのシュート数の合計を比べてみてはいかがだろうか。得点、失点の問題もあるだろうが、興味深いものがあると思う。そこからサッカー哲学が生まれるかもしれない。こうすれば必ずゴールが入る、または、こうしたら絶対に失点する、そういった法則が見つかるかもしれない。実際には、そういう哲学や法則はないのだが。

 今後は親善試合を含めて、なるべく若い世代のプレーヤーにチャンスを与える機会があると思う。予告しておこう。ただし「オシムのリストに新しい100人の未知のプレーヤーがいる」なんていう記事は書かないでもらいたいものだ(笑)。まあ、そのうち話をする機会もあるだろう。

 よかったら帰りの飛行機の中で、一晩中話してもいい(笑)。

 

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/kaiken/200609/at00010542.html

 

 

 

オシムの本音

 

 試合終了とともに、大きいため息をゆっくり一つ吐き出したオシム。これが記者会見ではあらゆる言葉をつなぎ聞き手をはぐらかしては本音を語らない彼の心中を表わしていたのではないだろうか。 ということでオシムが決して表には言わないだろう気持ちを私見もまぜてコミカルに想像してみました(笑)

 

以下、オシム監督

『ふー。やれやれ。正直、勝ててホッとした。こういう試合は心臓に良くない。ただでさえここは、酸素が少ないというのにね。

しかし、このチームはいつからオオクマのチームになったんだい?まるでオオクマが監督みたいだ(笑)私はもうあんなに大きい声は出せないから助かるがね。ただ、私の指示を一言一句ちゃんと伝えてくれているかが心配だが(苦笑)

とにかく状況を考えると今日の勝ちは色々な意味において大きい。選手にとっても、私にとってもそれと日本のメディアの皆さんにとっても。私にはもう見出しが見える。私の名前と我那覇の字が躍っているだろう。我那覇に最後に競りながらヘディングで落とした巻や、巻にセンタリングをあげた坪井のことは書かれないだろう。とくに坪井はこれ以外にも今日はいい仕事をした。もっと彼のことを書いてもいいのではないだろうか。

アジアサッカー協会に劣悪な芝生のことを訴えたいが、日本の放送局の方にも言いたいことがある。私のインタビューの尺の時間を多めにとるということだ。私はかなりしゃべるからね(笑)私のインタビュー時間を前もってとっておくことだ。そうしないと放送時間内に私のインタビューだけで終わってしまい選手のインタビューがとれないことが起こりえる。ぜひ、気を付けていただきたい。

ふー、酸素が少ないところでたくさん話すとのどがカラカラに渇いてくるから今日はもう帰るよ。今日は勝ったんだから選手と一緒のバスに乗って帰りたいからね(笑)おい、水をくれないか。何?さっき試合中にあなたがペットボトルを叩きつけたからないだって?そうだったか。何だって?こぼれたミルクは元に戻らない?そうだったな。では、ホテルまで我慢しようか。

(立ち上がって帰ろうとするがこちらを振り向いて)そうそう、メディアの皆さん。もうオシムジャパンというのはやめてくれないか?仮に私の息子が日本代表の監督になったら何と呼ぶつもりなのかな(笑)それでは。』

 

と思ってるかどうかは知らないが、少なくともオシムも今日の勝利には胸をなでおろし多少は喜んだに違いない。

posted by ブラウンシュガー

 

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/rock/article/28

 

 

 

 

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