オーストラリアのアジア協会転籍は正解か?

 

 PK戦での勝ち抜けの4強。まるで前回大会を見ているような気がしましたが、内容は別物でした。とはいえ、90分、ないし120分で勝ちたかったというのが監督はじめ、選手、我々も本音でしょう。

 ゲームを支配すれど、決定機をあまりつくれない……これが対オーストラリア戦の率直な感想です。とくに強く思ったのは、「たたみかける」ことをしないということ。わずかな時間に同点にした日本は、ここでいったん休息(と思えました)に入りました。相手は心理的に下降していますから、ここでたたみかけるのが勝負の常道と思うのです。ところか我が代表は、同じように、まったりとゲームを進めています。むしろ、放り込みでもいい、高原・巻にボールを集め、そのこぼれ球からチャンスを作っていくという、いわばパワープレーを行なってもよかったのではないか。ちょっと落ち込んでいて、なおかつ疲労が出てきた相手に対し、いやなプレーをせず、いつもの日本的攻撃を終始していました。これでは、守備をこじ開けるのは難しいと思います。

 おっと、本稿はそんなことを書くつもりはなかったのです。オーストラリアがアジアカップから去った今、果たして彼らがアジア協会へ転籍したのは正解だったのかどうか、それをちょっぴり検証しようと思ったのです。

 彼らの転籍の大きな目的は、いわずとしれたワールドカップ出場。オセアニアでは当たり前にトップになり、中南米、ないし、南米とのプレーオフしかワールドカップ出場の権利が得られない彼らにとって、アジアの4.5枠は魅力的だったのでしょう。

 アジアカップで彼らは自分たちの力を見せようとしました。大会前、シンガポールで合宿を張り、ほぼ万全の準備で乗り込みました。戦前、彼らの多くが、アジアは楽勝と思っているという報道を目にしました。確かに実力は申し分ありません。ドイツワールドカップでも、その強さを示しました。ところがどうでしょう。シンガポール合宿の効果は、あまりなかったようでした。イラクに敗れ、オマーンとは引き分け、やっとタイに勝ってどうにか2位でトーナメント出場でした。ここでわかったのは、彼ら選手のほとんどがヨーロッパで活躍しているため、アジアの独特な湿気に体力を消耗したということです。シンガポールで合宿したとはいえ、おそらく、アジアを卑下していた彼らは、一種のバカンス気分を味わっていたのではないでしょうか。そして、おそらくこの時期に東南アジアで試合をしたことがないのではないでしょうか。

 ワールドカップの予選は、まずは一次予選を戦い、上位8チームで最終予選を戦います。オーストラリアの場合、一次予選は気候・風土関係なく、実力で突破してくるでしょう。問題は、最終予選です。どんな国と組み合わせになるかわかりませんが、東アジアの国と中東の国が組み合わさるのは間違いありません。そして、ホームアンドアウェーで戦いますが、ここで問題なのは、ホームのオーストラリアで戦う場合、ヨーロッパでほとんどの選手が活躍しているために、母国といえども、アドバンテージは少ないということです。ヨーロッパからオセアニアまで、何時間もかけて帰らなければならないからです。そこを考えれば、むしろ中東でのゲームのほうが楽なのかも知れません。

 さらに、今回で中心FWのビドゥカが代表引退します。その他、ドイツ組の多くは、2010年まで代表にいるのかどうか定かではありません。つまり、ドイツワールドカップの時が、実はオーストラリアの絶頂期であり、なだらかな下降線を取り始めたのが、このアジアカップだったのかも知れないのです。

 くわえて、最も大きな問題が生じました。それは、オセアニア代表の、2010年のワールドカッププレイオフの相手が、なんとアジアの5位ということです。もしワールドカップ出場を念願していたのなら、アジア5位との戦いは彼らにとってウェルカムだったのではなかったかということです。

 以上、つらつら書きつらねましたが、オーストラリアの転籍は、失敗だったのではないかと思うのです。

 2007年07月23日 By ピッチサイダー

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/righthalf/article/3

 

 

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